滋賀ペット治療院の山路です。
主に往診でペットの鍼灸治療をしています。
6月に名古屋で開催した「コロコロ・ヒーリングセミナー」に参加してくださったトイプードルのオリヴィアちゃんのお話をしようと思います。
まずお断りしますが、この話で繁殖業そのものを悪者にするつもりはありません。
ただ、ペットショップの裏側で悲惨な状況にある犬猫がいるということ、人間の手で犬の体に不必要な手を加えることの是非について考えていただきたいと思い、書かせていただくことにしました。
以下は、飼い主さんからお聞きしたオリヴィアちゃんのお話です。
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オリヴィアがうちに来たのは、去年の5/5です。
これはうちに来たばかりの頃です。隅に隠れて様子を見てました。
トイプ―は里親さんからも人気の犬種ですが、おりちゃんは排泄の障害があり、
5・6時間おきに圧迫排尿の必要があることから、
貰い手がつかず、半年以上、ボランティアさんの家にいました。
ボランティアさんのお話によると、100匹以上の繁殖屋の崩壊でした。
現場は凄い惨状で、
冷蔵庫に犬たちの未処分の死骸がいくつもあったそうです。
うちに来た当初は体重は2.9キロ
全く吠えません。唸りません。お水を殆ど飲みません。
おもちゃで遊べません。ドッグランで走り回れません。
人が近寄ると震えてました。
ボランティアさんの話では、排泄障害もお腹に筋肉がつけば緩和されるだろう、
年は3-5歳くらいでしょう。との事でした。
それで私は朝晩の散歩をおりちゃんの様子を見ながら、長さを調節して毎日出歩くようにしました。
自分で、排泄できるようになるかもしれないと希望を持ちながら・・・
6/14の雨が上がった夜の散歩で初めて臭いを嗅ぎながらおしっこを自分でしました。
涙が出るくらいうれしかったです。
その後、圧迫排尿をとても嫌がりだしたので、朝晩のお散歩で出すようにしました。
面接の時にお世話になった動物病院の先生が漢方医学の先生で、気長に治療したらなんとかならないかと、2か月間 週一で、漢方薬と注射に通いました。
最初に撮ったレントゲンで、私がみても明らかに奇形ではなく、切られたのだと分かりました。
繁殖業者が自分で断尾をしたようです。
先生は、恐らく肛門周りの神経を切られていて、うまく排泄できないのだろうとの判断でした。
尿はお散歩を続けて3か月後から、圧迫排尿を嫌がり、お外でするようになりました。
ただ便は相変わらず、押し出すことが出来ないので、便が溜まってきたら、少しずつ肛門から出てきます。
そうなると、肛門の粘膜が切れていつも痛そうです。
いつも清潔にする事と、洗った後には朝晩ローションをつける対処療法です。
どのお医者さんからも6-8歳くらいだろうと言われて、
繁殖犬はそれくらい老けていくのが早いのよ。って、言われて
ここでも現実を見た気がしました。
オリヴィアが何歳なのかはどうでもよく、繁殖に体力と自分の栄養をつかったので、
近い将来、無理した人間同様、病気が出て来るのではないかということの方が心配です。
鍼や灸、アロマなどを代替医療の知識があるので、是非、オリヴィアのケアに役立てたいと考えております。
長文になり、読んでくださって有難うございます。
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最初にも言いましたが、全てのブリーダーさんが悪いのではないと思います。
でも、パピーミルと呼ばれる劣悪な環境で、遺伝病に関する知識もないまま繁殖しているような業者がいることも事実です。
オリヴィアちゃんは、今は優しい飼い主さんのもとで表情も豊かになり、本当によかったと思います。
全てのペットと飼い主さんが、笑顔で暮らせるような社会になって欲しいと心から思います。