犬のリンパ腫と鍼

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ゴールデンに鍼

急性で悪性のリンパ腫と診断されたゴールデンです。

滋賀ペット治療院の山路です。
主に往診でペットの鍼灸治療をしています。

今回は、犬のリンパ腫についてお話しします。

リンパ腫は、リンパ球が異常に増殖する腫瘍です。
原因はよくわかっていませんが、ゴールデン・レトリーバーによく見られる病気として知られています。

犬のリンパ腫は、大きく4つに分類されます。
一番多いのは、全身のリンパ節が腫れる「多中心型」と呼ばれるものです。
これは、体表を触っていて、脇の下や顎の下などにコリコリした腫れを感知することから飼い主さんが見つけることの多い腫瘍です。

あとは、胸腺型、消化器型、皮膚型がありますが、頻度は多中心型に比べると少なくなります。
内臓のリンパ節が腫れる場合は、外から触ってわかりませんので、食欲不振・下痢・嘔吐などが続いて初めて発見されることになります。
また、皮膚型は皮膚炎のように見えることから、アトピー性皮膚炎などと区別が難しいことがあります。

ゴールデンに鍼とマッサージ

慢性のリンパ腫と診断され、進行は緩やかです。

治療法としては、抗ガン剤によく反応するものが多く、腫れが小さくなります。
でも、急性で悪性度の高いものはいったんリンパ節の腫れが小さくなっても寛解することは少なく、予後はよくありません。
慢性経過をたどる進行の遅いリンパ腫の場合は、病気と付き合いながらの生活になります。

私のところでもリンパ腫に罹ったゴールデンの鍼治療の依頼を何度か受けました。
鍼に期待するのは、腫瘍そのものを小さくすることではなく、抗ガン剤やステロイドなどでダメージを受けた体の下支えをすることです。

特に、ステロイドは(東洋医学的には)体を冷やす薬なので、鍼灸との併用で滞った気の流れを改善することができます。
消耗した気を補い、食欲の回復や消化機能を整えることなどに効果があります。

ラブラドールに鍼

皮膚型のリンパ腫と診断されました

よく、腫瘍のある子に鍼を打つと腫瘍が悪化すると言われる方がありますが、そんなことはありません。
ただ、鍼だけで腫瘍が治るわけではありませんので、やはり必要な治療を動物病院でしていただくことが必要です。

鍼灸はペットの体のダメージを少しでも減らし、気持ちよくすることでQOLが上がります。
また、家庭でもお灸で気を補ったり、ローラー鍼で全身の血行をよくするケアをすることで、飼い主さん自身が落ち着いてペットの症状と向き合うことができます。

だんだん悪くなっていくペットの状態を見ているのはとても辛いものですが、飼い主さんの手がペットに安心感を与えます。

たとえ治らないとわかっていても、もう少し何かしてあげたいとお考えの方がおられましたら、一度ご相談ください。

 

 

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